
MIDIから楽譜へ:AI採譜の中でも「簡単な方」である理由
まったく異なる2つの問題
「AIによる楽譜生成」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、オーディオファイルをモデルに読み込ませ、どの音が鳴っているかを推測させるというものです。これは本当に難しい作業です。AIは波形からピッチ、リズム、タイミングを推測しなければならず、それは人間の採譜者が録音を聴いて耳で書き取るのと同じ作業です。本質的に近似的な処理であり、フルミックスや歪んだ楽器、密度の高いコードが絡むと一気に難易度が上がります。
一方、MIDIから楽譜への変換はまったく別の問題であり、はるかに簡単です。MIDIファイルにはすでに、すべてのイベントの正確な音程、正確なタイミング、正確なベロシティが含まれています。推測する必要は何もありません。それを標準的な記譜法に変換するのは「採譜」ではなく「変換」です。すでに正確なデータを五線譜上に配置するだけの作業であり、推測も「だいたい合っている」も、下書き段階の注意書きも不要です。
MIDIを生成する人にとってこれが重要な理由
テキストプロンプトから、Infinite Engineから、あるいはMIDI Labのジェネレーターから、AIが生成したMIDIを扱っている場合、その正確なノートデータはすでにファイルの中に存在しています。トラックがMIDIとして存在した瞬間から、楽譜化は「検出の問題」ではなく「フォーマットの作業」になります。これはMIDIがAI生成によるものでも、MIDIコントローラーで録音した演奏でも、ピアノロールエディタで手打ちしたパートでも変わりません。
これは、解釈の要素を考慮する前の段階でも、MIDIから楽譜への変換がオーディオから楽譜への変換よりもクリーンな結果になりやすい理由でもあります。決定論的な変換には「調子が悪い日」がありません。シンプルなメロディーよりポリフォニックなパッセージの方が苦労する、ということもありません。精度の上限そのものが高いのです。なぜなら、難しい部分、つまり「どの音がいつ鳴らされたか」を突き止める作業は、MIDIが存在した時点ですでに解決済みだからです。
記譜ソフトがMIDIファイルに実際に求めるもの
MuseScore、Sibelius、Finale、Doricoといった標準的な記譜ソフトは、MusicXMLと呼ばれる形式を読み込みます。これはオーディオから楽譜への変換ツールも処理の最終段階で出力する、同じ交換用フォーマットです。MIDIからMusicXMLに変換するには、記譜ソフトが重視するにもかかわらず、生のMIDIデータには明示的にエンコードされていないいくつかの要素を解決する必要があります。
- 調号 — MIDIファイル自体には調の情報が付与されていません。パート譜を読む人間が耳で調を判断するのと同じように、実際に使われている音から推測する必要があります。
- 拍子と拍のまとまり — ノートオン/ノートオフのタイムスタンプを、小節、拍、そしてその細分にどう対応させるか。
- 異名同音の表記 — ある音をシャープで書くかフラットで書くかは、単なるピッチ番号だけでなく、調やその前後の音によって決まります。
- リズム記譜 — ミリ秒単位の正確なタイムスタンプを、人間の演奏らしさを損なわずに、読みやすい音符の値(4分音符、8分3連符、付点リズムなど)に量子化すること。
これらはどれも「聴く」ことを必要としません。構造化された、ルールに基づく作業であり、まさに近似ではなく確実に解決できる種類の問題です。
実際の活用シーン
オーディオから楽譜への変換を価値あるものにしているのと同じユースケースがここにも当てはまり、しかも一般的により良い結果が得られます。
- 耳コピではなく譜面を読むセッションミュージシャンにパートを渡すとき。
- 生成・打ち込みしたトラックをライブバンド用にアレンジするとき。各奏者には実際のパート譜が必要になります。
- 教育現場 — MIDIの練習課題や例を印刷用の楽譜に変換する。
- 楽曲のアーカイブ — 特定のDAWの独自プロジェクト形式に縛られず、どの記譜ソフトでも扱える形で保存する。
MIDI Labにおける位置づけ
MIDI Labはすでに、セッションをオーディオとMIDIを添付ファイルとして保持できる1つのスレッドとして扱っています。作曲支援機能も、ファイルの種類ごとに別々のモードを用意するのではなく、「手元にあるものを放り込んで、欲しいものを言葉で伝える」という考え方で作られています。楽譜出力は、そのアイデアの自然な延長線上にあります。アプリの中にある音楽的なアイデアを、他の誰かが読んで演奏できる形にして外に出す、もう1つの方法です。
AIが実際に「聴いて推測」しなければならないオーディオ側の話については、AI採譜にできること・できないことをご覧ください。